「作ったゲームが売れないからゲーム作りを辞める」と決断する人を止めたい

感想文

「作ったゲームが売れないからゲーム作りを辞める」と決断する人を止めたい

一本作って売れなかったから、ゲーム作りそのものを辞める。その選択を少し「もったいない」と思う理由を、Steamで80本しか売れていない私が書きました。

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2026.09.15
  • 「ゲームを作ったけど、全然売れなかった」
  • 「何年もかけて作ったのに、ほとんど遊んでもらえなかった」
  • 「だから、もうゲーム作りは辞めます」

そんな話を、インディーゲーム界隈で度々見かけます。

もちろん、ゲームを作り続けるかどうかは本人が決めることです。
生活もありますし、お金も時間も必要です。

無責任に、
「夢を諦めるな!」
「売れるまで作り続けろ!」
と言いたいわけではありません。

ただ、それでも私は、
「一本作って売れなかったから、ゲーム作りそのものを辞める」
という選択を見ると、少しだけ「もったいないな」と思ってしまいます。

「作ったゲームが売れないからゲーム作りを辞める」と決断する人を止めたい
「作ったゲームが売れないからゲーム作りを辞める」と決断する人を止めたい

私のゲームも、別に売れているわけではない

私は趣味としてゲームを作っています。
Steamで販売したり、フリーゲームとして公開したりして遊んでいます。

これまでSteamで販売したゲームは2本。
その2本を合わせた販売本数は80本です。
決して「インディーゲームで成功した人」ではありません。

別名義で過去に販売したゲームを含めても、
これまで自分で販売したゲームの売り上げ総数は2,433本です。
世間で話題になるようなインディーゲームと比べれば、本当に小さな数字です。

でも私は、それを理由にゲーム作りを辞めようとは思いません。

というより、そもそも私は、
「ゲームを作って食べていくぞ」と思ってゲーム制作を始めたわけではありません。

「ゲームを作ってみたい」
ただ、それだけでした。

どれくらい売れるか。
どれくらい儲かるか。
それを目的にしてゲームを作り始めたわけではなく、
ただただ自分の好奇心で作ってきました。

なぜなら私は、
ゲームという媒体を使って何かを表現すること自体が、とても楽しいからです。

  • ゲームのルールを考える。
  • キャラクターを作る。
  • 音を作る。
  • UIを作る。
  • プログラムを書く。
  • 誰かに遊んでもらう。

そして、
「こうした方が面白かったな」
「次はこんなものを作ってみたいな」
と考える。

私にとってゲーム制作は、
商品を作る行為である以前に、
ものづくりであり、表現であり、遊びでもあります。

もちろん売れたら嬉しいです。
たくさんの人に遊んでもらえたら、もっと嬉しい。

でも、売れなかった瞬間にゲームを作る意味そのものが消えてしまうかと言われれば、私はそうは思いません。

ゲーム制作の価値を販売本数だけで測ってしまうと、
「作ることが楽しい」という一番最初の気持ちまで、
一緒に捨ててしまうことになる気がするんです。

インディーゲームの夢が、とても大きく見える時代

近年、本当にいろいろなインディーゲームが話題になります。

  • UNDERTALE。
  • 赤マント。
  • 8番出口。
  • スイカゲーム。
  • めっちゃカメレオン。

日本でも海外でも、個人や小さなチームから突然ものすごい作品が現れます。

私自身、昔からThe Behemothの『Alien Hominid』や『Castle Crashers』、
そして『Super Meat Boy』のような作品の公開や表現に憧れていました。

少人数でも、
「こんなゲームを作りたい!」
という強烈な個性をそのまま作品にできる。
インディーゲームには、そんな魅力があります。

だからこそ、
「自分もインディーゲームクリエイターになりたい」
と思う人が増えるのも、すごくよく分かります。

ただ、ここには少し怖いところもあります。
私たちが普段目にするのは、どうしても「成功したゲーム」が中心だからです。

  • 何万本、何十万本、何百万本売れた。
  • SNSで大バズりした。
  • 実況者が遊んでくれた。
  • Steamランキングに載った。

そんな作品をたくさん見ていると、
ゲームを一本完成させてSteamに出せば、
ある程度売れるような気がしちゃいますよね。

そして実際にリリースしてみる。

すると、
想像していた以上に、さらに想像していた以上に売れない。

ここで初めて、現実を知る人が多いでしょう。

夢見る人たちが現実を知った結果、

  • 「才能がなかった」
  • 「自分には向いていなかった」
  • 「ゲーム制作なんてもう辞めよう」

となっちゃうんだろうな、と思います。

でも、ゲームを一本完成させた時点で、かなりすごいことをやっている

ここで私は、すごくもったいないと思うんです。

ゲームを一本完成させるためには、本当にいろいろな能力が必要です。

  • 企画を考えて、
  • 仕様を決めて、
  • プログラムを書いて、
  • グラフィックを用意して、
  • 音を入れて、
  • UIを作って、
  • バグを直して、
  • ビルドして、
  • ストアページを作って、
  • スクリーンショットを撮って、
  • 説明文を書いて、
  • 審査を通して、
  • ようやくリリースする。

ゲーム制作をしたことがある人なら分かると思いますが、
「ゲームを完成させる」こと自体が、かなり難しい。

途中まで作ったゲームなら、世の中に山ほどあります。

でも、
「完成させて、知らない誰かが遊べる状態まで持っていった」
というのは、立派な技術です。

販売本数が10本でも、100本でも、1000本でも、
その事実は変わりません。

それを、
「売れなかったから全部失敗だった」
として一回で捨ててしまうのは、
あまりにも惜しいと思うんです。

ゲームを作れる技術は、他でも使える

そして、これはあくまで副産物のような話ですが、
ゲーム制作を続けていると、
その技術が思わぬところで仕事につながることもあります。

先ほど書いたように、
私は自分のSteamゲームを大量に売った経験があるわけではありません。

それでも、
「ゲームを作れる」
ということを知ってもらったことで、
ゲーム制作やアプリ制作について、
案件や依頼、相談をいただくようになりました。

今年からこの仕事展開を始め、
ゲームやアプリを6本作りました。
こちらは普通に仕事として成立しています。

少なくとも私の場合、
「自分のゲームをSteamで売った売上」よりも、
「ゲームを作れる技術を使って、誰かのためにゲームやアプリを作った収入」
の方が圧倒的に大きいです。

ただし、ここで言いたいのは、
「Steamで売れなくても受託で稼げるから続けよう」
ということではありません。

私はそもそも、収益性を考えてゲーム制作を始めたわけではありません。
「ゲームを作ってみたい」という好奇心だけで続けてきました。

そして、その結果として、「後から仕事にもつながった」
順番としては、そちらです。

ゲームクリエイターというと、
自分の考えたゲームを作って販売する人、
というイメージが強いかもしれません。

でも実際には、それだけではありません。

  • 企業のゲームを作る。
  • イベント用のゲームを作る。
  • 教育用ゲームを作る。
  • 展示施設のコンテンツを作る。
  • スマートフォンアプリを作る。
  • Web上で動くインタラクティブコンテンツを作る。
  • 誰かのアイデアをゲームとして形にする。

ゲーム制作で身につく技術は、
思っている以上にいろいろな場所で使えます。

ゲームクリエイターは「誰かの夢を実現する仕事」にもなれる

私は、ここがゲーム制作という仕事のとても好きなところです。

ゲームクリエイターは、
必ずしも自分の作品だけを作る人ではありません。

例えば誰かが、
「子どもたちに、こういうことを楽しみながら学んでもらいたい」
と言ったとします。

そこで、
「じゃあ、こういうゲームにしてみませんか?」
と提案できる。

誰かが、
「こんなゲームが昔から作りたかったんです」
と言えば、
それを技術で形にすることもできる。

つまりゲームクリエイターは、
自分の夢をゲームにすることもできるし、誰かの夢をゲームにする手伝いもできる。

私は、これはすごく素敵な仕事だと思っています。

売れなかったことと、作ったことに価値がなかったことは違う

もちろん、ゲームを商売として続けたいのであれば、
「楽しいから作る」だけでは難しい場面もあります。

  • マーケティングも必要です。
  • 市場調査も必要です。
  • 価格設定も必要です。
  • ストアページも重要です。
  • 完成後の広告・広報も必要です。

発売前から知ってもらう活動も必要になります。

そして時には、
「このゲームは商品としては需要がなかった」
という現実も受け入れなければいけません。

でも、
商品として売れなかったことと、ゲームを作った経験に価値がなかったことは、まったく別の話です。

  • 一本作ったから、次はもっと早く作れる。
  • 一本売れなかったから、なぜ売れなかったのか考えられる。
  • 一本完成させたから、ポートフォリオとして見せられる。

一本公開したから、
「ゲームを作れます」と胸を張って言える。

それだけでも、その一本は次につながっています。

「ゲームを売る」だけがゲームクリエイターではない

もし、「ゲームを作ること自体がもう楽しくない」のであれば、
辞めるのも一つの選択だと思います。

他にやりたいことが見つかったなら、
それも良いと思います。

でも、
「ゲームを作るのは好きだけど、一本目が売れなかったから辞める」のであれば、
私は少しだけ待ってほしいと思います。

そのゲームを完成させた技術は、

  • 次のゲームにも使えます。
  • 別の仕事にも使えます。
  • 誰かの相談にも使えます。
  • 教育にも使えます。

他に、
Web制作にも、アプリ制作にも、映像表現にもつながるかもしれません。

そして何より、また自分が作りたいものを作るためにも使えます。

私はゲームを作って、Steamで公開したり、フリーゲームとして公開したりして、
これからも遊んでいくつもりです。

たとえ次のゲームが10本しか売れなくても、100本しか売れなくても、
作りたいものがある限り、また作り続けます。

ゲームを作ることは、
必ずしも「一発当てるための挑戦」でなくてもいいと思うんです。

  • ゲーム制作そのものを楽しんでもいい。
  • 技術として仕事にしてもいい。
  • 誰かの夢を形にしてもいい。
  • 売れることを目指して、本気で商売として取り組んでもいい。

どの向き合い方でもいいと思います。

ただ、
「売れなかった」という理由だけで、
「作ることが好き」という気持ちまで否定しなくてもいい。

そして時々、自分の作品が誰か一人にものすごく刺されば、
それもまた嬉しい。

だから、
「作ったゲームが売れなかったから、ゲーム作りを辞める」という決断の前に、
もう一度考えてみてほしいです。

あなたが最初にゲームを作ろうと思った理由は、
本当に「売るため」だけだったでしょうか。

そして、あなたが完成させたその一本で身につけたものは、
本当に「売れなかった」という一言だけで捨ててしまうようなものなのでしょうか。

私は、そうは思いません。

西野竜平(署名)