- 「ゲームを作ったけど、全然売れなかった」
- 「何年もかけて作ったのに、ほとんど遊んでもらえなかった」
- 「だから、もうゲーム作りは辞めます」
そんな話を、インディーゲーム界隈で度々見かけます。
もちろん、ゲームを作り続けるかどうかは本人が決めることです。
生活もありますし、お金も時間も必要です。
無責任に、
「夢を諦めるな!」
「売れるまで作り続けろ!」
と言いたいわけではありません。
ただ、それでも私は、
「一本作って売れなかったから、ゲーム作りそのものを辞める」
という選択を見ると、少しだけ「もったいないな」と思ってしまいます。
私のゲームも、別に売れているわけではない
私は趣味としてゲームを作っています。
Steamで販売したり、フリーゲームとして公開したりして遊んでいます。
これまでSteamで販売したゲームは2本。
その2本を合わせた販売本数は80本です。
決して「インディーゲームで成功した人」ではありません。
別名義で過去に販売したゲームを含めても、
これまで自分で販売したゲームの売り上げ総数は2,433本です。
世間で話題になるようなインディーゲームと比べれば、本当に小さな数字です。
でも私は、それを理由にゲーム作りを辞めようとは思いません。
というより、そもそも私は、
「ゲームを作って食べていくぞ」と思ってゲーム制作を始めたわけではありません。
「ゲームを作ってみたい」
ただ、それだけでした。
どれくらい売れるか。
どれくらい儲かるか。
それを目的にしてゲームを作り始めたわけではなく、
ただただ自分の好奇心で作ってきました。
なぜなら私は、
ゲームという媒体を使って何かを表現すること自体が、とても楽しいからです。
- ゲームのルールを考える。
- キャラクターを作る。
- 音を作る。
- UIを作る。
- プログラムを書く。
- 誰かに遊んでもらう。
そして、
「こうした方が面白かったな」
「次はこんなものを作ってみたいな」
と考える。
私にとってゲーム制作は、
商品を作る行為である以前に、
ものづくりであり、表現であり、遊びでもあります。
もちろん売れたら嬉しいです。
たくさんの人に遊んでもらえたら、もっと嬉しい。
でも、売れなかった瞬間にゲームを作る意味そのものが消えてしまうかと言われれば、私はそうは思いません。
ゲーム制作の価値を販売本数だけで測ってしまうと、
「作ることが楽しい」という一番最初の気持ちまで、
一緒に捨ててしまうことになる気がするんです。
インディーゲームの夢が、とても大きく見える時代
近年、本当にいろいろなインディーゲームが話題になります。
- UNDERTALE。
- 赤マント。
- 8番出口。
- スイカゲーム。
- めっちゃカメレオン。
日本でも海外でも、個人や小さなチームから突然ものすごい作品が現れます。
私自身、昔からThe Behemothの『Alien Hominid』や『Castle Crashers』、
そして『Super Meat Boy』のような作品の公開や表現に憧れていました。
少人数でも、
「こんなゲームを作りたい!」
という強烈な個性をそのまま作品にできる。
インディーゲームには、そんな魅力があります。
だからこそ、
「自分もインディーゲームクリエイターになりたい」
と思う人が増えるのも、すごくよく分かります。
ただ、ここには少し怖いところもあります。
私たちが普段目にするのは、どうしても「成功したゲーム」が中心だからです。
- 何万本、何十万本、何百万本売れた。
- SNSで大バズりした。
- 実況者が遊んでくれた。
- Steamランキングに載った。
そんな作品をたくさん見ていると、
ゲームを一本完成させてSteamに出せば、
ある程度売れるような気がしちゃいますよね。
そして実際にリリースしてみる。
すると、
想像していた以上に、さらに想像していた以上に売れない。
ここで初めて、現実を知る人が多いでしょう。
夢見る人たちが現実を知った結果、
- 「才能がなかった」
- 「自分には向いていなかった」
- 「ゲーム制作なんてもう辞めよう」
となっちゃうんだろうな、と思います。
でも、ゲームを一本完成させた時点で、かなりすごいことをやっている
ここで私は、すごくもったいないと思うんです。
ゲームを一本完成させるためには、本当にいろいろな能力が必要です。
- 企画を考えて、
- 仕様を決めて、
- プログラムを書いて、
- グラフィックを用意して、
- 音を入れて、
- UIを作って、
- バグを直して、
- ビルドして、
- ストアページを作って、
- スクリーンショットを撮って、
- 説明文を書いて、
- 審査を通して、
- ようやくリリースする。
ゲーム制作をしたことがある人なら分かると思いますが、
「ゲームを完成させる」こと自体が、かなり難しい。
途中まで作ったゲームなら、世の中に山ほどあります。
でも、
「完成させて、知らない誰かが遊べる状態まで持っていった」
というのは、立派な技術です。
販売本数が10本でも、100本でも、1000本でも、
その事実は変わりません。
それを、
「売れなかったから全部失敗だった」
として一回で捨ててしまうのは、
あまりにも惜しいと思うんです。
ゲームを作れる技術は、他でも使える
そして、これはあくまで副産物のような話ですが、
ゲーム制作を続けていると、
その技術が思わぬところで仕事につながることもあります。
先ほど書いたように、
私は自分のSteamゲームを大量に売った経験があるわけではありません。
それでも、
「ゲームを作れる」
ということを知ってもらったことで、
ゲーム制作やアプリ制作について、
案件や依頼、相談をいただくようになりました。
今年からこの仕事展開を始め、
ゲームやアプリを6本作りました。
こちらは普通に仕事として成立しています。
少なくとも私の場合、
「自分のゲームをSteamで売った売上」よりも、
「ゲームを作れる技術を使って、誰かのためにゲームやアプリを作った収入」
の方が圧倒的に大きいです。
ただし、ここで言いたいのは、
「Steamで売れなくても受託で稼げるから続けよう」
ということではありません。
私はそもそも、収益性を考えてゲーム制作を始めたわけではありません。
「ゲームを作ってみたい」という好奇心だけで続けてきました。
そして、その結果として、「後から仕事にもつながった」
順番としては、そちらです。
ゲームクリエイターというと、
自分の考えたゲームを作って販売する人、
というイメージが強いかもしれません。
でも実際には、それだけではありません。
- 企業のゲームを作る。
- イベント用のゲームを作る。
- 教育用ゲームを作る。
- 展示施設のコンテンツを作る。
- スマートフォンアプリを作る。
- Web上で動くインタラクティブコンテンツを作る。
- 誰かのアイデアをゲームとして形にする。
ゲーム制作で身につく技術は、
思っている以上にいろいろな場所で使えます。
ゲームクリエイターは「誰かの夢を実現する仕事」にもなれる
私は、ここがゲーム制作という仕事のとても好きなところです。
ゲームクリエイターは、
必ずしも自分の作品だけを作る人ではありません。
例えば誰かが、
「子どもたちに、こういうことを楽しみながら学んでもらいたい」
と言ったとします。
そこで、
「じゃあ、こういうゲームにしてみませんか?」
と提案できる。
誰かが、
「こんなゲームが昔から作りたかったんです」
と言えば、
それを技術で形にすることもできる。
つまりゲームクリエイターは、
自分の夢をゲームにすることもできるし、誰かの夢をゲームにする手伝いもできる。
私は、これはすごく素敵な仕事だと思っています。
売れなかったことと、作ったことに価値がなかったことは違う
もちろん、ゲームを商売として続けたいのであれば、
「楽しいから作る」だけでは難しい場面もあります。
- マーケティングも必要です。
- 市場調査も必要です。
- 価格設定も必要です。
- ストアページも重要です。
- 完成後の広告・広報も必要です。
発売前から知ってもらう活動も必要になります。
そして時には、
「このゲームは商品としては需要がなかった」
という現実も受け入れなければいけません。
でも、
商品として売れなかったことと、ゲームを作った経験に価値がなかったことは、まったく別の話です。
- 一本作ったから、次はもっと早く作れる。
- 一本売れなかったから、なぜ売れなかったのか考えられる。
- 一本完成させたから、ポートフォリオとして見せられる。
一本公開したから、
「ゲームを作れます」と胸を張って言える。
それだけでも、その一本は次につながっています。
「ゲームを売る」だけがゲームクリエイターではない
もし、「ゲームを作ること自体がもう楽しくない」のであれば、
辞めるのも一つの選択だと思います。
他にやりたいことが見つかったなら、
それも良いと思います。
でも、
「ゲームを作るのは好きだけど、一本目が売れなかったから辞める」のであれば、
私は少しだけ待ってほしいと思います。
そのゲームを完成させた技術は、
- 次のゲームにも使えます。
- 別の仕事にも使えます。
- 誰かの相談にも使えます。
- 教育にも使えます。
他に、
Web制作にも、アプリ制作にも、映像表現にもつながるかもしれません。
そして何より、また自分が作りたいものを作るためにも使えます。
私はゲームを作って、Steamで公開したり、フリーゲームとして公開したりして、
これからも遊んでいくつもりです。
たとえ次のゲームが10本しか売れなくても、100本しか売れなくても、
作りたいものがある限り、また作り続けます。
ゲームを作ることは、
必ずしも「一発当てるための挑戦」でなくてもいいと思うんです。
- ゲーム制作そのものを楽しんでもいい。
- 技術として仕事にしてもいい。
- 誰かの夢を形にしてもいい。
- 売れることを目指して、本気で商売として取り組んでもいい。
どの向き合い方でもいいと思います。
ただ、
「売れなかった」という理由だけで、
「作ることが好き」という気持ちまで否定しなくてもいい。
そして時々、自分の作品が誰か一人にものすごく刺されば、
それもまた嬉しい。
だから、
「作ったゲームが売れなかったから、ゲーム作りを辞める」という決断の前に、
もう一度考えてみてほしいです。
あなたが最初にゲームを作ろうと思った理由は、
本当に「売るため」だけだったでしょうか。
そして、あなたが完成させたその一本で身につけたものは、
本当に「売れなかった」という一言だけで捨ててしまうようなものなのでしょうか。
私は、そうは思いません。
