「サンレレ」という楽器の存在を今日知りました。
沖縄の三線とウクレレを組み合わせた楽器で、
「楽器と楽器を組み合わせて、新しい楽器を作るのって面白いな」
と思いながら見ていました。
そこから、なぜか私の頭の中では全然違う方向へ話が進んでいきます。
もっと気軽に子どもたちが触れる、安い電子楽器って作れないだろうか。
これが今回の始まりです。
電子楽器から、いろいろ脱がせてみる
電子楽器を作るとなると、いろいろなものが必要になります。
筐体があって、鍵盤があって、スイッチがあって、
ディスプレイがあって、電池やバッテリーがあって……。
でも、最初から全部必要なのでしょうか。
例えば鍵盤。
ピアノのように鍵盤が沈み込まなくても、
触ったことさえ判定できれば音は鳴らせます。
だったら、基板に鍵盤の形をした金属パターンを作ってしまえばいい。
- ベロシティもいらない。
- 液晶もいらない。
- バッテリーもいらない。
- ケースもいらない。
どんどん脱がせていった結果、
「もう基板そのものを楽器にしたらいいのでは?」
というところまで来てしまいました。
基板に直接触って演奏する
現在考えているのは、A6サイズ程度の小さな基板です。
表面にはC・D・E・F・G・A・B・Cの1オクターブ分の鍵盤を配置します。
ただし、鍵盤は動きません。
黄色く見えている部分そのものが、金メッキされたタッチ電極です。
指で触れ、それを静電容量式センサーで検出する。
そして音を鳴らす。これで完結。非常に単純。
オクターブ設定もボタンではなく、
同じ金メッキのタッチ電極にします。
物理的に動く部品を極力なくして、
基板に印刷されたものを触って演奏する楽器にしたいと思っています。
電池もなくしてしまう
もう一つ、なくしたかったものが電池です。
子ども向けの電子楽器を考えたとき、
「電池が切れている」
「充電されていない」
というだけで遊べなくなるのが、私はあまり好きではありません。
そこでUSB-Cから給電します。
USB電源につなげば小さな電子楽器。
パソコンやスマホにつなげばMIDI入力機器。
内蔵バッテリーがなければ、
充電池の劣化について考える必要もありません。
そしてパソコンやスマホにつないだときには、
そのままUSB MIDIキーボードとして使えるようにしたい。
単体では小さな電子楽器。
パソコンにつなげばDTM用の入力機器。
この二つを兼ねます。
サイズはA6まで小さくなりました
最初はA5サイズで考えていました。
ところが設計を考えているうちに、
「もっと小さくできるのでは?」となりまして、
現在のデザインは148mm × 105mmのA6サイズです。
そして左上には、なぜかナスカンまで付けました。
つまり、楽器を鞄に引っかけて持ち歩けます。
必要かどうかは知りません。
でも、私はこういうものが好きです。
高性能な電子楽器を作りたいわけではありません。
小さくて、安くて、USBを挿して、触ったら音が鳴る。
鞄に引っ掛けていた謎の基板を取り出して、その場で演奏できる。
それくらいの電子楽器があっても面白いと思っています。
名前は「The Piano's New Clothes」
そして名前を考えていて思いついたのが、
「The Piano's New Clothes」です。
元ネタはアンデルセンの「裸の王様(The Emperor's New Clothes)」。
電子ピアノから、筐体を脱がせて、
物理鍵盤を脱がせて、バッテリーを脱がせて、
いろいろなものを脱がせていったら、
基板だけになりました。
なのに、名前は「ピアノの新しい服」。
なかなか気に入っています。
まだ、作っていません
ここは大事なので書いておきます。
現時点では完全に企画・設計段階です。
製品画像も実物の写真ではなく、
設計したプロダクトデザインをもとに作ったモックアップです。
特に静電容量式の鍵盤をこのサイズでどこまで安定して扱えるのか。
複数の鍵盤を同時に触ったときはどうなるのか。
USB MIDIと単体音源をどう組み合わせるのか。
小さなスピーカーをどう配置するのか。
実際に基板を製造したとき、演奏しやすいのか。
まだまだ検証することがあります。
そのため、電子工作に詳しい方にも相談しながら、
まずはPrototype 01を作ってみようと思っています。
楽器を作るというより、入口を作りたい
今回考えているものは、本格的なピアノの代わりにはなりません。
- 88鍵もありません。
- ベロシティもありません。
- ペダルもありません。
- ものすごく良いピアノ音源が入っているわけでもありません。
無いものだらけです。でも、それでいいと思っています。
触ったら音が鳴った。
USBをパソコンにつないだらDAWが反応した。
「この金色のところ、なんで触っただけで分かるの?」
「この基板の線はどこにつながっているの?」
そんなところから、音楽に興味を持ってもらえるかもしれない。
DTMに興味を持ってもらえるかもしれない。
電子工作に興味を持ってもらえるかもしれない。
プログラミングに興味を持ってもらえるかもしれない。
だからこれは、ピアノを小さくしたものというより、
いろいろな「作る」への入口になる、小さな楽器。
そんなものにできたら面白いなと思っています。
まずは、本当に音が鳴るところまで作ってみます。
The Piano's New Clothes.
ピアノを脱がせたら、何が残るのでしょうか。
たぶん、基板です。
